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厚生年金「加入逃れ」対策

「人を雇用する中小企業の経営者様」に知ってただきたい労働・社会保険法に関する情報を、ブログでお伝えしています。

「あなたの、はた「楽」をサポート」、おひさま社会保険労務士事務所代表の篠田 恭子です。

 

先日、こちらの記事で、年金手帳を廃止し、通知書に変えようという動きがありますよ~、という話題を取り上げさせていただきました。

年金手帳が通知書に

これは、10月30日の社会保障審議会 年金部会の内容で、厚生労働省が案を出した内容になります。

同じく10月30日、同じ社会保障審議会 年金部会で、日本年金機構の権限の見直しについても議題に上がっています。

今回は、そちらの内容を取り上げてみたいと思います。

 

厚生年金適用の可能性があるが、加入していない法人事業所の数

厚生年金の適用の可能性がある法人事業所は、平成31年3月時点で、約36万件あるそうです。

平成27年3月末の時点では97万件でした。つまり、4年間で約3分の1に減っているということになります。

ここ数年、法人で厚生年金に入っていないと、日本年金機構から何度もお知らせが届くと聞いています。

このような日本年金機構等の厚生年金加入促進の努力があり、かなり効果が得られたのではないかと思います。

ただ、裏を返せば、これだけ加入促進をしても、まだ36万件残っている、ということも言えるわけです。

 

現行制度の問題点

日本年金機構が、どのように加入促進をしているかと言えば、

「国税庁から、従業員を雇い給与を支払っている法人事業所の情報の提供を受ける」などの方法で、情報を得ているそうです。

加入しなくてはいけない可能性がある法人(加入逃れをしているかもしれない法人)に対しては、任意の指導等を行っているとのこと。

ただ、現在、日本年金機構が立ち入り調査ができるのは、適用事業所のみ(厚生年金に加入している事業所のみ)となっています。

厚生年金に加入していない法人について立入調査ができないことが問題点となっています。

今は任意の指導だけで立入調査もできないので、事業所が拒否すれば、日本年金機構はそれ以上のことができないのです。

立ち入り調査については、厚生年金保険法に定められています。

(立入検査等)
第100条 厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、

事業主(※)に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入つて関係者に質問し、

若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

※ここでいう、事業主=適用事業所の事業主に限られます

 

対策案として

厚生労働省から、厚生年金の加入逃れをしていると思われる事業所にも、日本年金機構が立入調査を行えるように、

日本年金機構の立入調査できる範囲を拡大する法改正を行うという案が出されています。

法案が通ると、この36万件の事業所に順次立入調査をして→加入してもらう、ということになっていくのでしょうね。

 

ご参考

厚生労働省 第13回社会保障審議会年金部会

しのだ

逃げてしまえばそれでいい、という考えが通ってしまうのは、よくないですね。

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