「人を雇用する中小企業の経営者様」に知ってただきたい労働・社会保険法に関する情報を、ブログでお伝えしています。
「あなたの、はた「楽」をサポート」、おひさま社会保険労務士事務所代表の篠田 恭子です。
年金の財政検証
公的年金は今の受給している世代だけでなく、これから生まれてくる子供たちの代まで、
将来にわたって長く給付が継続されなくてはならない制度です。
そのため、「社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証」しており、これを財政検証と呼んでいます。
厚生年金保険法及び国民年金法の規定によって、少なくとも5年ごとに財政検証をすることが決まっています。
前回が平成26年に行われました。ちょうど、令和元年の今年が5年後ということになります。
標準的なモデル世帯とは
法律では年金の給付水準について、標準的なモデル世帯で現役世代の収入の50%以上を確保することを定めています。
この標準的なモデル世帯がどのような世帯かといいますと
20歳で結婚
夫は、20歳~60歳まで会社勤めをし、ボーナス込みで平均的な収入をもらう
妻は、20歳~60歳まで40年間専業主婦
という、夫だけが働いている世帯になります。
男女の平均初婚年齢が30歳前後で、20歳で結婚するとか、妻が40年間専業主婦でいる世代のどこがモデル世帯なんだ?
という批判はあちこちから聞こえてきますが、このような世帯なんだ、ということは頭の片隅に置いておいてください。
所得代替率とは
上記の、モデル世帯で、夫がもらうボーナス込みの平均的な収入は、手取りで月357,000円で試算されています。
2019年はこの夫婦2人の世帯でもらえる年金は
夫婦2人の老齢基礎年金 130,000円 + 夫の老齢厚生年金 90,000円 = 220,000円となります。
ここで、現役世代の収入に対して、年金の収入が何パーセントになるかといえば
220,000円 ÷ 357,000円 = 61.7%
この率のことを所得代替率といいます。
この所得代替率を50%以上確保することを法律で定めているわけです。
厚生労働省の財政検証の資料の中には、
公的年金の給付水準を示す指標。現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率により表される、
と説明されています。
このモデル世帯よりも高収入の世代では、公的年金以外にも自分で保険に入ったり投資をしたりして老後に備えることができるということで、所得代替率はモデル世帯よりも下がるようになっています。
逆に、老後の備えが十分でないと考えられるモデル世帯よりも低収入の世帯では、所得代替率が上がるようになっています。
今回の財政検証
今回の財政検証では、将来年金の所得代替率がどうなっていくか、6つのケースを示して説明しています。
経済成長と労働参加が進むという3つのケースで所得代替率が50%を上回っています。
ただ、経済成長と労働参加が一定程度進むケースで40%台、経済成長と労働参加が進まないケースでは30%台となっています。
年金がまったくもらえないということはないにせよ、少子高齢化で年金財政がますます厳しくなります。
今の世代よりもらえる額が低くなることはまちがいないでしょう。
詳細は厚生労働省のHPにのっています。
私たちは今から老後に対して備えをすることを考え、年をとっても健康で、できるだけ長く働いてお金を稼ぎ、年金はなるべく遅めにもらう・・・
としていくしかないのでしょうね。なかなか難しいですが・・・
しのだ
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埼玉県川越市で開業している「あなたの、はた「楽」をサポート」する社会保険労務士です。
元リケジョであり、IT業界から社会保険労務士に転身した、ちょっと異色の経歴をもつ社労士です。
プライベートでは3男児の母になり、会社員時代に産休・育休・時短勤務も身をもって経験済。市内保育園に10年以上お世話になっています・・・
働く時間は人生の3分の1ともいわれます。
社長さんも従業員さんも、働くすべての人に楽しい仕事人生を送ってほしいという思いから、社会保険労務士になりました。
現在は社労士業である労務管理と合わせて、人事制度・賃金制度を中心とした制度作り、採用育成に関するコンサルティングを行っています。
中小企業の身近なアドバイザーとして、よりよい職場づくりを応援しています。