「人を雇用する中小企業の経営者様」に知ってただきたい労働・社会保険法に関する情報を、ブログでお伝えしています。
「あなたの、はた「楽」をサポート」、おひさま社会保険労務士事務所代表の篠田 恭子です。
前回、前々回とこちらのブログで助成金のメリット、デメリットについて書いてみました。
今回は実際に助成金の申請をしていて、難しいなぁと感じるところについて触れてみたいと思います。
助成金受給の難しさ
申請書類の提出が大変
助成金を申請するためには、申請書類を作らなくてはなりません。また添付書類も結構多いです。
計画届や就業規則の改訂が必要な助成金もありますので、かなりたくさんの書類を提出する必要があります。
書類作成は、ある程度時間を取られる作業になると思います。
助成金の申請方法や要件について理解が必要
例えば、キャリアアップ助成金 正社員化コース。
有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した場合にもらえる助成金です。
この助成金は、名前はかなり知られているようで
「うちの会社で契約社員を正社員にしたから、助成金もらえますか?」
ときかれることがありますが、
雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成
管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
という要件があります。事後の申請ではもらえないのです。
この助成金では、キャリアアップ計画届を作成→労働局へ提出→正社員へ転換
という順序があります。
他の助成金も、書類を提出する順序や、取組の順序があったりします。
助成金の申請の仕方や取り組み方についてもパンフレットを読んだり、労働局へ聞いたりして、理解することが必要になってきます。
労働法の理解が必要
助成金の支給要件には「労働関係法令に違反していないこと」というものがあります。
そもそも労働法を理解されていない場合、守っているつもりでも労働法を守れていないことがあります。
そうなりますと、すぐに助成金の申請や受給は難しいです。
ですが、労働法を守れば、助成金の申請は可能ですので、まずは労務管理をしっかりしていただくことかと思います。
ハードルが高い要件をクリアできるか
助成金には受給するための要件があります。その要件は、年々厳しくなる傾向があります。
今までもらえていた会社様でもらえなくなるというようなことも発生しています。
例えばキャリアアップ助成金 正社員化コース。
平成30年度より、5%要件と呼ばれる下記の要件が追加になりました。
正規雇用等へ転換した際、
転換前の6か月と転換後の6か月の賃金(※)を比較して、5%以上増額していること
※賞与(就業規則又は労働協約に支給時期及び支給対象者が明記されている場合に限る。)
諸手当(通勤手当、時間外労働手当(固定残業代を含む)、休日出勤に対する休日手当及び本人の営業成績等に応じて支払われる歩合給などは除く)を含む賃金の総額。
※所定労働時間が異なる場合は1時間あたりの賃金
正社員に転換した、というだけでは助成金はもらえず、給与UP(残業代は除く)が必要になっています。
このような要件をクリアできない場合は、助成金がもらえません。
5%アップさせるというのは、結構高いハードルだと感じます。
その従業員さんの働きをみて5%アップするならいいと思いますが
助成金をもらうために5%アップする、というのはちょっとおかしな話になってしまいます。
これはあくまで一例ですが、助成金を申請できる要件をクリアするのが難しい場合は結構あります。
解雇の不支給要件がある
会社都合で解雇を出してしまうと、助成金の申請ができないことがあります。
経営上やむを得ず「解雇」を選択されることもあると思います。
仕方ないことですが、助成金に影響があるということを覚えておいていただけたらと思います。
しのだ
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埼玉県川越市で開業している「あなたの、はた「楽」をサポート」する社会保険労務士です。
元リケジョであり、IT業界から社会保険労務士に転身した、ちょっと異色の経歴をもつ社労士です。
プライベートでは3男児の母になり、会社員時代に産休・育休・時短勤務も身をもって経験済。市内保育園に10年以上お世話になっています・・・
働く時間は人生の3分の1ともいわれます。
社長さんも従業員さんも、働くすべての人に楽しい仕事人生を送ってほしいという思いから、社会保険労務士になりました。
現在は社労士業である労務管理と合わせて、人事制度・賃金制度を中心とした制度作り、採用育成に関するコンサルティングを行っています。
中小企業の身近なアドバイザーとして、よりよい職場づくりを応援しています。