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台風の影響で休業した場合

「人を雇用する中小企業の経営者様」に知ってただきたい労働・社会保険法に関する情報を、ブログでお伝えしています。

「あなたの、はた「楽」をサポート」、おひさま社会保険労務士事務所代表の篠田 恭子です。

 

強い台風15号が、夜、関東地方に上陸するというニュースが流れています。

仕事は朝から月曜日の分を前倒しで、お昼ごろに買い物を済ませて帰ってきました。

家の周りを確認したり、窓を閉めたりをしていたところ、家じゅうのスマホが一斉に鳴りだしました。

「避難準備・高齢者等避難開始(警戒レベル3)の発令と避難所開設」の連絡でしたが

一斉に鳴りだして、かなりびっくりしました。

 

今夜は遅い時間ほど、外出危険な暴風になり、雨も強まるとの予報です。

 

川越市内の小中学校は金曜日の時点で、川越市教育委員会から2時間遅れでの登校指示が出ています。

 

こんなとき、社会保険労務士という仕事をしていると、会社だったらどういう取り扱いになるのか・・・

災害の時の労働基準法の取り扱いが思い浮かんでしまいます。

 

小中学校の例をとある会社に置き換えてみたいと思います。

普段は8:00~17:00、休憩1時間の8時間勤務の会社で

夜から朝の通勤時間にかけて台風が直撃する場合

「従業員の安全を考えて始業時間を2時間遅らせ、10:00~17:00、休憩1時間で6時間勤務としよう」

と社長さんが従業員全員に指示した場合

台風のため、会社を2時間遅らせた場合、その2時間の給与は補償するべきでしょうか、補償しなくていいのでしょうか?

従業員の立場から考えてみれば、会社が勝手に「2時間遅らせた」ということになります。

その分の賃金(給与)については、支払われるものだ、と当然に考えている場合もあるでしょう。

こんなときに、まず確認していただきたいのは、こちらの条文。

労働基準法 第26条 (休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の 100 分の 60 以上の手当を支払わなければな
らない。

原則として、会社都合で休業させた場合には、平均賃金の60/100以上の休業手当を支払わなくてはならないということになっています。

 

ただし、例外があります。

使用者の責に帰すべき事由に限られるという点がポイントです。

この労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由の具体例としては

工場の焼失機械の故障、原材料不足、資金難、生産過剰による操業短縮、監督官庁の勧告による操業停止などで、

使用者の故意・過失による休業経営・管理上の障害による休業も含まれます。

 

ただ、ここはあくまで「使用者の責に帰すべき事由」となりますから、地震や今回の台風のような天災事変は含まれないのです。

これは不可抗力だということで、認められています。

他にも不可抗力ということであれば、休業手当の支払いは必要ありません。

不可抗力といえるかどうかの判断は

  1. 原因が事業の外部より発生している
  2. 事業主がどんなに注意を尽くしたとしても、避けることのできないものであること

の2点で判断されます。

使用者の責に帰すべき事由は、天災地変(地震など)のような不可抗力は含まれません。台風も天災事変のひとつですので、不可抗力によって休業する場合は、休業手当の支払いは必要ありません。

 

ただし、1点注意していただきたいのは、台風が出勤に影響があるほどでもないのに

「台風の影響でお客さんが来なくて売上が下がるだろうから、明日はお休みしてね」

というのは対象外で、休業手当の支払いは必要になるということです。


寝ている間に何事もなく過ぎてくれればいいのですが、

雨・風・停電への対策、無理に外には出ない。十分に警戒をしていきたいですね。

外に出ざるを得ない方は、どうか無理をなさらずに。

しのだ

天気の子みたいに、天気が変えられたらいいですね。

休業手当について、下記の記事でも触れていますので、こちらもご一読ください。

 

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