「人を雇用する中小企業の経営者様」に知ってただきたい労働・社会保険法に関する情報を、ブログでお伝えしています。
「あなたの、はた「楽」をサポート」、おひさま社会保険労務士事務所代表の篠田 恭子です。
有給休暇についてのご質問が増えています。
うちは、他の会社より多く休みを上げているから、有給休暇を上げる必要はないよね?
というようなご質問です。
法定よりも多い休日を設定していて、従業員の健康や余暇にも十分配慮している。
でも、有給休暇は一切あげていないという会社さんに時々出会うことがあります。
法定より休みが多いからと言って有給休暇をとらせなくてもいいということにはならないのです。
有給休暇がなぜあるのかを考えてみましょう。
有給休暇は、働く従業員さんが心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与されるものです。
休んでも賃金が減額されないことや、本人が好きなときに取れるという労働者にとってメリットがあります。
法定よりも会社の休日が多いからと言って、有給休暇は減ったりするものではありません。
会社は従業員から請求があったら有給休暇をとらせなくてはなりません。
有給休暇の付与については労働基準法で定められています。
条件は
入社から6か月間以上継続して勤務していること
その期間の全労働日の8割以上出勤していること
の2つです。
何日付与されるのかは下記の通りです。
入社6か月で10日、その後1年すると(入社1年6か月)で11日が付与され、さらに1年たつと12日・・・となっていきます。
時効は2年ですので、有休を取らずに2年経つと消滅します。
勤続年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
有給取得日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
所定労働日数が少ないパートさん、アルバイトさんも有給休暇をとることができます。
ただし、比例付与と言って、フルタイムの方よりも少なめの設定になっています。
週所定 労働日数 |
年間所定 労働日数 |
勤続年数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月 | ||
4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 4日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
さらに働き方改革で、2019年4月1日から事業主に義務が発生します。
この規定は中小企業だからといって経過措置がありません。
大企業も中小企業も同じ日からスタートとなりますので、ご注意ください。
5日以上の有給休暇取得義務
政府の働き方改革の1つに有給休暇の取得率向上の取り組みがありましたが、諸外国に比べ有給休暇の取得率が低いのが日本です。
いよいよ有給休暇の取得が義務化されることとなりました。
時期:2019年の4月1日から
対象:10日以上の有給休暇が付与される全ての労働者
何日休ませなくてはいけないのか:毎年最低5日
10日以上の有給休暇が付与される労働者とは
上記の有給休暇の表を参照ください。フルタイムの方だけでなく、パート・アルバイトで勤続年数が長い方は対象になります。
時季を指定するとは
年次有給休暇をいつ取得するか、その時季を指定することをいいます。
何日休ませなくてはいけないのか
この5日間には、本人の希望や労働者の時季指定権、計画的付与でとる有給休暇は除かれます。
有給休暇の取得が4日であったなら、5-4=1日。
1日は会社が時季を指定して、従業員に消化させることが義務づけられるというものです。
罰則は?
違反した場合、従業員1人あたり最大30万円の罰金が企業に課されます。
しのだ
埼玉県川越市で開業している「あなたの、はた「楽」をサポート」する社会保険労務士です。
元リケジョであり、IT業界から社会保険労務士に転身した、ちょっと異色の経歴をもつ社労士です。
プライベートでは3男児の母になり、会社員時代に産休・育休・時短勤務も身をもって経験済。市内保育園に10年以上お世話になっています・・・
働く時間は人生の3分の1ともいわれます。
社長さんも従業員さんも、働くすべての人に楽しい仕事人生を送ってほしいという思いから、社会保険労務士になりました。
現在は社労士業である労務管理と合わせて、人事制度・賃金制度を中心とした制度作り、採用育成に関するコンサルティングを行っています。
中小企業の身近なアドバイザーとして、よりよい職場づくりを応援しています。